今日はYAHOO!ニュースで見つけた、こんな記事を題材にしたお話です。
『ウズラの卵 高値続く 生産減止まらず 「味付け」が定着、給食需要も』(日本農業新聞)
国産ウズラ卵の価格が高止まりしている。
指標となる愛知県豊橋市場の卸売価格は1箱(30個入り)当たり219円と、5年前に比べて2割高い。
農家の廃業に歯止めが掛からず、生産量が落ち込んでいるためだ。
生卵とゆで卵での一般的な流通に加え、薫製など味付け卵の販売が定着し、引き合いは強い。
「今後も需給逼迫(ひっぱく)が予想される」(流通業者)見込みで、実需の増産への期待は大きい。-記事冒頭より引用
・なぜ、ウズラ卵の価格が高騰しているのでしょう?
記事の中で語られている理由は「生産が減少している反面、需要は絶えないこと」です。
・ではなぜ、ウズラ卵の需要が絶えないのでしょう?
この記事の中では原因の一つとして「家飲みの機会が増え、ウズラ卵がおつまみに選ばれること」に触れています。
・どうして、家でお酒を飲む機会が増えたのでしょう?
これには色々な理由がありますが、ここでは「コンビニで買えるお酒の種類が増えたこと」に目を向けてみます。
定番のビールはもちろん、手軽に酔いたい人にはアルコール度数の高いチューハイ、おしゃれな気分で飲みたい人には華やかなパッケージのカクテルなど、最近のコンビニでは様々な人の好みや気分に合わせた、個性的なお酒が多く取り扱われています。
「これだけたくさんの選択肢があるなら、わざわざお店に行かなくても自宅で楽しくお酒が飲めそう」ということで、家飲みが増えているのかもしれませんね。
※参考記事
女性の「家飲み」にかけるお金が増加 チューハイが立役者に?
「家飲み」派が増加! お手頃価格でしっかり酔えそう、高アルコール飲料に注目
ここで注目したいのは、お酒のメーカーさんが頑張って新商品を開発してくれて、家飲みのクオリティが上がっている!ということではなく、
なぜ?なぜ?を繰り返すことによって、ある意味、「コンビニで買えるお酒の種類が増えたことによって、ウズラ卵の価格が上がっている」と言えてしまうことです。
当然、お酒のメーカーさんは「よし、ウズラ卵の値段が上がるように頑張るぞ」という心意気で新商品の開発に勤しんでいるわけではありません。ですが、企業努力によってコンビニで取り扱われるお酒の種類が増えることとなり、(もちろん他の要因もありますが、)ウズラ卵の値段が上がるという結果に繋がるわけです。
このように、「どこかで生じた変化が、めぐりめぐって予測のつかない場所に影響を及ぼすこと」を表す”風が吹けば桶屋が儲かる”ということわざがあります。
強い風が吹くと土ぼこりが立つ
↓
土ぼこりが目に入り盲人が増える
↓
盲人たちが三味線弾きの仕事に就く
↓
三味線の胴を張る猫の皮の需要が増える
↓
猫が狩られて減る
↓
ねずみが増える
↓
ねずみが桶をかじる
↓
桶屋が儲かる
というシナリオですね。
また、良く似た海外発祥の言葉としては、”バタフライエフェクト”があり、この名前は、気象学者エドワード・ローレンツの講演『ブラジルでの蝶の羽ばたきはテキサスでトルネードを引き起こすか』というテーマに由来します。
そして、この「どこかで生じた変化が、めぐりめぐって予測のつかない影響を生み出す」ことは人生においても多くあります。
例えば学校や塾で出会った1人の人が、読んだ1行の文章が、見かけた1枚の写真が、誰かの1分の話が、自分にとっての”強い風”だったと、3年後に思い出されることがあります。
例えば「あと少しだけ頑張ろう」と踏ん張った時に偶然触れた何かが”小さな羽ばたき”であったと、10年後に気付くことがあります。
そういった風や羽ばたきのほとんどは、その瞬間には全く取るに足らない些細なこと、というような見た目をしていて、それらが後に自分の人生を左右することになるかもしれないなどとは思いもよりません。
ただ、ふとしたタイミングで”今の自分”を見つめ直す時にはいつも、良くも悪くも自分が過去に経験してきた些細なことによって、”今”が作り上げられていることが実感されるはずです。
塾講師として、生徒さんの明るい未来を作る”小さな羽ばたき”を増やせる存在となることができれば、と感じさせられたウズラ卵のお話でした。