ウイニングイレブンと組み合わせの公式

こんにちは。
僕のスマホには、一つだけ、ゲームアプリがインストールされています。
それが、今回のコラムのタイトルにも挙げた『ウイニングイレブン』(以下『ウイイレ』)です。
サッカーに興味のある方なら、一度はタイトルを聞いたことがあるのではないでしょうか。
このアプリ版ウイニングイレブンを簡単に説明すると、実在する世界中のサッカー選手たちを集め、自分の理想のチームを作ろう!という主旨のゲームです。そして、手間暇かけて作りあげた自慢のチームで、世界中のユーザーとネット対戦できるのが、このゲームの凄いところです。


僕は、このゲームで結構な時間、遊びます。
どのくらい結構な時間かというと、いつも生意気な塾生たちに僕の『ウイイレ』選手コレクションを見せて以降、一目置かれるようになった(気がする)くらい、結構な時間です。

このゲームの中で重要な要素の一つが、“スカッド作り”です。
簡単に言えば、どんな選手を自分のチームのメンバーとして登録し、それぞれどんなポジションに配置するか。というものです。
○僕のお気に入り、アトレティコマドリースカッド

○アトレティコ以外のメンバーで、勝ちたい時のスカッド


おおよそ塾には似つかわしくないこのゲームアプリが、画像付きでこのコラムに登場するに至ったのは、僕が、先述したネット対戦において「ここ最近、同じようなスカッドの相手とばっかり対戦してるなぁ、」と思ったことが始まりです。

『ウイイレ』は大人気ゲームなので、インターネット上には”最強スカッド””オススメスカッド”といった攻略情報が溢れています。
そんな中で戦う最近の対戦相手が、これらの“オススメスカッド”ばかりであるように感じられたのです。

そして、僕がその”オススメスカッド”の弱点を突いた時に困惑している(ように見える)対戦相手が、“公式を当てはめるだけの問題””例題と全く同じ問題”しか解けない、と悩む塾生さんの姿と重なりました。

ウイイレの”オススメスカッド”はいわば、「基本的には、こうすれば勝てるよ」という公式であり、例題の解き方です。”基本戦術”と言い換えても良いかもしれません。
そしてもちろん、それらを正確に覚えて活用することは、基本的には、勝利/正解への近道であるはずです。

ただし、ウイイレにおいても、勉強においても、“基本的”なまま物事が終わることはほとんどありません。ウイイレの対戦相手はオススメスカッドの弱点を突いてきますし、数学のテストには応用問題が出題されます。


これらに立ち向かう時に重要なことは、”基本戦術”が”なぜ/どういう仕組みでそうなっているのか”を知っておくことです。
ウイイレのオススメスカッドでは、どこからどのように攻めると得点しやすいのか。逆に、どういう攻めに弱い構造になっているのか。その構造を作る選手達にはそれぞれどのような特徴があるのか。それが把握できていれば、常に”公式の丸写し”の戦術ではなく、相手の攻守に応じて選手を入れ替えたり、プレーの選択を変えたりすることができるはずです。(ただ、僕の対戦相手さんは”教科書通り”な戦い方をされる方が多く、試合の中で、僕のチームに対して有効なプレーを生み出してくるような方は少なかったのです。)

それは数学においても同様で、公式がなぜ成り立つのか。公式そのものやその過程に出てくる文字数字には、どのような意味があるのか。を把握していれば、公式の中から必要な部分を取り出して応用問題に当てはめたり、もっと扱いやすい自分流の解き方を確立できたりするかもしれません。また、公式の証明さえ理解していれば、公式の暗記が曖昧であっても、自分で公式を再構築することができます。


例えば、数学の『組み合わせの公式』は覚えておられますでしょうか。
[ 6C2 ]みたいなやつですね。

Q.6枚のカードから2枚を選ぶとき、選び方は何通りあるか?
といった問題で、「6C2だから、(6×5)/(2×1)=15で15通り!」みたいな使い方をします。
ではなぜ、「6枚から2枚を選ぶ」ときの選び方を(6×5)/(2×1)で求められるのでしょうか。

まずは、6枚のカードから選んだ2枚のカードをテーブルに並べるシーンを想像してみると分かりやすいと思います。

1枚目のカードの選び方が6通りあり、2枚目のカードは1枚目で抜き取られたカード以外から選ぶことになるので5通り。まずは、この“6通り×5通り”という公式のパーツ①が登場し、これはのちに公式のうち分子の部分になります。
ここで終わってしまってはいけません。

なぜならば、このままでは、「いやいや、勝手に順番つけて並べんといてくださいよ。僕はただ、2枚を選んでくれってお願いしただけなんですよ。」と、出題者に文句を言われてしまうからです。

つまり、先程のやり方では“1枚目がA、2枚目がDの場合”と、”1枚目がD、2枚目がAの場合”が別々のものとして処理されてします。
実際のところは、どちらの場合でも選んだカードはAとDの2枚なので、これらは同じものとみなしたいのです。

この問題は、選ばれたカード(ここではAとD)の並べ方が何通りあるのか、を考えることで解決することができます。
今回は選ぶカード2枚の場合なので、手元にある2枚のカードを順番に並べるイメージです。
1枚目に並ぶのはAかDかの2通り、2枚目に並ぶのは残った1枚なので1通り。
つまり、”手元にあるカードは全く同じで、並びの順番だけが違うパターン”は常に、”2通り×1通り”存在しているわけです。これが公式のパーツ②です。

ということで、「とりあえず2枚をテーブルに並べてみたよ」のパーツ①を分子に、「カードは同じで並び方が違うパターンはこれだけあるよ」のパーツ②を分母に持ってくることによって、公式『”6通り×5通り”/”2通り×1通り”=(6×5)/(2×1)』が成立するわけですね。


逆説的ですが、この公式の成り立ちをしっかりと理解していれば、公式に頼ることなく確率の問題を解くことができます。
これはもちろん、「この公式の中で出てくる考え方を全く使わない」というお話ではなく、「こういう場合はこの公式に当てはめて解く」みたいな丸暗記をしなくても、「解く問題に合わせてオーダーメイドの解法を自分で作り出すことができる」という意味です。

これについては実際の問題を前にして説明するのが分かりやすいと思いますので、塾生の皆さんは興味があれば是非、塾舎で質問してくださいね。
そして塾生以外の皆様は是非、無料体験受講にお越しください!笑
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勉強も『ウイイレ』も、面白みは”基本戦術”をひたすらなぞることにあるのではなく、その仕組みを理解し、自分なりに組み合わせたり変形したりして”自分仕様”を作り出すこと、そして”自分仕様”によって、高みを目指すことなのだと思います。

『ウイイレ』の”オススメスカッド”を見たら、それがどういう仕組みで強いのかを考えること。
そして自分の得意なプレーや、対戦相手の戦術に応じて、”オススメスカッド”にアレンジを加えられるようになること。

数学の公式に出会ったら、その成り立ちや証明について学んでみること。
そして公式を丸覚えするのではなく、その考え方を自分なりに応用してみること。

どっちも僕の”オススメ”です。

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